Review
Introduction
Story
About UNDINE
「水の精 ウンディーネ/オンディーヌ」神話
人間との結婚によってのみ不滅の魂を得ることができる
女性の形をした水の精霊。
ウンディーネをモチーフにした物語は
「愛する男が裏切ったとき、その男は命を奪われ、
ウンディーネは水に還えらなければならない」というストーリーラインで描かれている。
Cast Profile
Staff
- 監督インタビュー
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INTERVIEW OF CHRISTIAN PETZOLD ABOUT THE FILM UNDINEクリスティアン・ペツォッルト監督インタビューQ:あなたの直近の映画は歴史的または政治的背景を持っていましたが、本作は神話を出発点としています。なぜそのような選択にしたのですか?
A:私にはそれらが異なるものと分類してしまって良いのかは分かりません。過去の作品と同様に、本作は愛についての物語です。過去作は不可能な愛、傷ついた愛、あるいは発展を予想させる愛について語っています。しかし本作では愛がどのように発展していき、心にどのように残っていくのかを描きたかったのです。そして、非政治的な物語というものはありえません。政治は常に物語の中に滑り込んでいます。
Q:ウンディーネについて無数にある物語をすべて参照しましたか?A:いいえ。子供の頃からウンディーネの物語については知っていましたが、あらゆることを間違って記憶してしまっていました。しかし、覚えているお伽話、母親が読んでくれた神話などを読み直す必要はありません。それらの世界観は記憶に保存されており、物語を書く段になると、そうしたぼやけた部分と明確な部分とが非常に重要になってきます。凝縮や要約はあらゆる伝承の中にあります。グリム兄弟などによって記録されたお伽話は、口伝を繰り返し、あるところは変化していきましたが、いくつかの点は同じままでした。私にとって映画は、例えば州立図書館で勉強するよりも、この口承の伝統に似ています。
Qあなたのウンディーネはベルリンの歴史家であり、この街はご自分の作品の中で繰り返し独特の視点で取り上げている都市ですね。A:この映画を企画している頃、ベルリン市立博物館に展示されている素晴らしいベルリンの模型を見ました。ベルリンは辺り一帯を排水処理して整地し、沼地に建てられた都市です。そして、神話を持たない人工的で近代的な都市です。かつての貿易都市のように神話を輸入しました。同時に、ベルリンはそれ自身の歴史をどんどん消し去っている都市でもあります。ベルリンの特徴的な要素であった「壁」は、非常に短い期間で取り壊されました。フンボルトフォーラム(「ベルリン王宮」の外観を復元した新しい複合文化施設)もまた過去の略奪なのです。これらの破壊された過去、神話の残骸はウンディーネの物語の一部だと思います。
Q:水中シーンをどのように準備しましたか?A:準備のために沢山の映画を観ました。最も魅力的だった水中映画は、リチャード・フライシャーの『海底二万哩』です。本作のすべての水中世界は、水を加える前に構築されました。アーチ道、植物、巨大な溝のあるダムの壁、タービンなどの制作にまず取りかかりました。本作に出てくるベルリンの模型のように、物理的で具体的な構築モデルには魔法が宿っています。パウラ・ベーアとフランツ・ロゴフスキが水中を潜っていくとき、それらは本物でなければいけませんでした。しかし、魚は訓練することは出来ませんから、アニメーションを使ってナマズは追加しました。
Q:俳優たちと水中シーンのリハーサルはどのようにしましたか?A:水中で俳優との接触は殆どできず、リハーサルもすることが出来ませんでした。そのため、これらのシーンのすべての視線と動きについて、完全なストーリーボードと正確なショットリストを作成しました。これは特に撮影監督にとって非常に重要でした。撮影は私が普段よくするように、その場で決断をすることが出来ませんでした。水中カメラマンがいて、私たちは地上のモニターで確認しました。俳優は水中にいる制作アシスタントを通して私達の声を聞くことが出来ましたが、コミュニケーションを大幅に減らす必要があったので、俳優が水中に入る前に、すべての論理的側面に取り組みました。彼らは信じられないほど疲弊していましたが、力強く推し進めてくれました。
Q:パウラ・ベーアとフランツ・ロゴフスキは『未来を乗り換えた男』でも既に共演していました。彼らの何がいちばん好きですか?A:『未来を乗り換えた男』の撮影中、映画に出てくるピザ屋でランチをしているときに、私は二人にまだ初期段階の本作の企画を話しました。それは私にとってとても楽しく、また彼らも物語を楽しんでくれていることに気づきました。彼らの相互作用には大きな信頼があります。彼らのあらゆる触れ合い、あらゆる視線、すべてが信頼と尊敬と信じられないほどの解放感に満ちています。私達三人はいつでもすべてを一緒に話し合うことが出来ました。パウラ・ベーアは非常に若い女優ですが、他の人が歳をとってからしか経験できないようなことを表現することが出来ます。フランツ・ロゴフスキは確実にドイツで最も肉体的な俳優です。そして、あのような目線を送れる俳優はそう多くはいません。フランツの身体的側面は、彼の手さばき、ものに触れる様の素晴らしさでも見ることができます。フランツと一緒に居ると、彼がフィジカルに世界を捉えていて、それを楽しんでいるという印象を常に抱きます。
Credit
Undine Paula Beer ウンディーネ:パウラ・ベーア
Christoph Franz Rogowski クリストフ:フランツ・ロゴフスキ
Monika Maryam Zaree モニカ:マリアム・ザリー
Johannes Jacob Matschenz ヨハネス:ヤコブ・マッチェンツ
Staff/スタッフ
Director & Scriptwriter Christian Petzold 監督・脚本:クリスティアン・ペッツォルト
Cinematographer Hans Fromm, bvk 撮影監督:ハンス・フロム
Editor Bettina Böhler 編集:ベッティナ・ボーラー
Production Designer Merlin Ortner プロダクションデザイン:メルリン・オルトナー
Costume Designer Katharina Ost 衣装:カタリーナ・オスト
Producer Florian Koerner von Gustorf Michael Weber プロデュサー:フロリアン・ケルナー・フォン・ダストフ ミヒャエル・ヴェーバー
挿入曲:バッハ 協奏曲ニ短調(マルチェッロのオーボエ協奏曲による) BWV974 第二楽章アダージョ
2020年/ドイツ・フランス/ドイツ語/90分/アメリカンビスタ/5.1ch/原題:Undine/日本語字幕:吉川美奈子/配給:彩プロ
© SCHRAMM FILM / LES FILMS DU LOSANGE / ZDF / ARTE / ARTE France Cinéma 2020
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